パーソナルジムの売却は、
やり方を間違えると「売れない」「大きく損をする」結果になりがちです。
ただし、実務で多い失敗は、
経営能力や努力不足が原因ではありません。
ほとんどのケースで共通しているのは、
「判断のタイミング」と「準備不足」です。
実際、
・もっと早く相談していれば売れた
・条件を整理していれば選択肢があった
というケースは数えきれません。
この記事では、
パーソナルジム売却の現場で本当に多い5つの失敗パターンを、
実務ベースで具体的に解説します。
失敗①|売れると思い込み、何も準備しない
最も多い失敗が、
「そのうち売れるだろう」と考え、何も準備しないケースです。
特に多いのが以下の状態です。
- 赤字だが、まだ何とか回っている
- いずれ誰かに譲ろうと思っている
- 忙しくて後回しにしている
この状態で時間が経つと、
次のような事態が起こります。
よくある悪化パターン
- 賃貸借契約の条件が悪化する
- 設備が劣化し、価値が下がる
- 会員が減り、事業譲渡が難しくなる
- 選択肢が「閉店」しか残らなくなる
実務では、
「売れる状態」から「売りづらい状態」へ自然に移行してしまう
ケースが非常に多いです。
売却は、
調子が良い時・まだ余裕がある時に動くほど有利です。
失敗②|相場を知らずに価格を高く設定する
次に多いのが、
相場を知らずに感情的な価格をつけてしまうケースです。
よくある考え方として、
- これまでの投資額を回収したい
- 苦労した分、高く売りたい
- 他の事業なら◯倍で売れると聞いた
といった理由で、
現実とかけ離れた価格設定をしてしまいます。
この失敗の怖い点
- 買い手が現れない
- 時間だけが過ぎる
- 結果的に値下げする
- 条件交渉が不利になる
最終的に、
「最初から現実的な価格にしていれば、もっと良い条件で売れた」
という結果になることが多いです。
実務では、
「売れる価格」と「売りたい価格」は別物
という認識が非常に重要です。
失敗③|居抜きと事業譲渡を混同する
パーソナルジム売却で、
特に混乱が多いのが
「居抜き」と「事業譲渡」の混同です。
この2つを整理しないまま話を進めると、
交渉が止まる、もしくは破談になりやすくなります。
よくある混同例
- 設備だけ売りたいのに「事業譲渡」と言ってしまう
- 顧客も引き継ぎたいのに「居抜き」と説明してしまう
- 買い手と認識がズレたまま交渉が進む
売却時には、
「何を売りたいのか」を明確にする必要があります。
- 内装・設備なのか
- 会員・運営を含めた事業なのか
これを整理しないと、
話が噛み合わず時間だけが無駄になります。
失敗④|不動産契約を確認していない
実務上、
途中で破談になる最大の原因が
不動産契約の確認不足です。
賃貸借契約には、
- 譲渡禁止条項
- 転貸禁止
- オーナー承諾必須
といった条件が入っていることが珍しくありません。
よくあるトラブル
- 買い手が見つかった後に契約違反が判明
- オーナーが承諾しない
- 条件変更を求められる
この場合、
売却自体が成立しないこともあります。
売却を検討する段階で、
必ず賃貸借契約を確認することが必須です。
失敗⑤|誰にも相談せず閉店してしまう
最も多く、
そして最も勿体ない失敗が
「誰にも相談せずに閉店してしまう」ケースです。
閉店を決めてから相談すると、
次のような制限が一気に増えます。
- 事業譲渡ができない
- 会員引き継ぎが不可
- 居抜きの選択肢が減る
- 価格が下がる
実務上は、
閉店前であれば成立したケースが、閉店後では成立しない
ということが本当によくあります。
売却や譲渡は、
「やめると決める前」に動くことが重要です。
失敗を避けるために共通して言えること
ここまで紹介した5つの失敗には、
共通点があります。
それは、
「一人で判断してしまっている」ことです。
パーソナルジムの売却は、
- 不動産
- 事業
- 契約
が絡むため、非常に個別性が高い分野です。
ネットの情報だけで判断すると、
かえって選択肢を狭めてしまうこともあります。
正しい判断をするための第一歩
失敗を避けるために、
最初にやるべきことはシンプルです。
- 今の状態を整理する
- 売れる可能性を確認する
- 売り方の選択肢を知る
これだけでも、
結果は大きく変わります。
まとめ|失敗の多くは「早く動けば防げる」
パーソナルジムの売却における失敗は、
後から振り返ると防げたものがほとんどです。
- 相場を知る
- 契約を確認する
- 早めに相談する
これだけで、
「売れない」「損をする」リスクは大きく下がります。
よくある質問(FAQ)
Q1. 赤字のパーソナルジムでも売却で失敗することはありますか?
A. ありますが、ほとんどの場合は「売り方の問題」です。
赤字そのものが原因で失敗するケースは少なく、
実務上は「事業譲渡に固執してしまった」「居抜きという選択肢を取らなかった」ことが原因になるケースが大半です。
赤字ジムであっても、
- 内装や設備が使える
- 立地に需要がある
- 賃料が相場内
であれば、居抜きや条件調整で成立する可能性は十分にあります。
Q2. 売却を考え始めるのは、どのタイミングがベストですか?
A. 「閉店を決める前」がベストタイミングです。
実務では、
「もう少し続けてから考えよう」
「閉店が決まってから相談しよう」
と判断した結果、選択肢が激減するケースが非常に多く見られます。
売却・譲渡は、
余裕がある段階で動くほど、条件面で有利になります。
まだ売るか決めていない段階で相談する方が、失敗は圧倒的に少なくなります。
Q3. 自分で買い手を探して売却するのは危険ですか?
A. 可能ですが、失敗するリスクは高くなります。
特に多いのが、
- 相場より高く提示してしまう
- 不動産契約を確認していない
- 居抜きと事業譲渡を混同する
といったケースです。
実務では、
「買い手は見つかったが、条件面で破談になる」
という失敗が最も多く見られます。
第三者の視点で条件整理をした方が、
結果的に早く・安全に成立するケースがほとんどです。
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