パーソナルジムを売却するとき、
多くの方が最初に気になるのが
「いくらで売れるのか?」 という点です。
結論から言うと、
パーソナルジムの売却価格に明確な定価はありません。
ただし、実務の現場では
- 売れやすい価格帯
- 成立しやすい条件
- 失敗しやすい考え方
といった はっきりした傾向 があります。
この記事では、
実際に多い売却・事業譲渡のケースをもとに、
パーソナルジムの売却相場と、価格がどう決まるのか を
実務ベースで詳しく解説します。
パーソナルジムの売却相場の目安
まずは、
多くの方が知りたい 「価格帯の目安」 から整理します。
あくまで目安ですが、
実務では以下の価格帯が多く見られます。
① 10万円〜50万円
内装・設備中心(居抜き寄り)
この価格帯は、
- 会員の引き継ぎがない
- 事業としては終了
- 内装・マシンを次の事業者に引き継ぐ
といった 居抜きに近い売却 が多いです。
特徴としては、
- 赤字・閉店予定
- すでに営業を止めている
- 早く手放したい
といったケースが多く、
スピード重視で成立することが多い 価格帯です。
② 50万円〜150万円
事業譲渡(顧客・運営の引き継ぎあり)
最も多いのがこのゾーンです。
- 会員数は多くない
- 黒字ではない
- ただし現在も稼働中
といったパーソナルジムでも、
事業譲渡として成立するケースが多くあります。
この価格帯では、
- 内装・設備
- 会員情報
- 運営ノウハウ
をまとめて引き継ぐ形が一般的です。
③ 200万円以上
黒字・スタッフ付き・立地条件が良好なケース
この価格帯は、
- 月次黒字
- スタッフ在籍
- 立地が良い
- すぐに拡大できる
といった条件が揃っているケースです。
ただし、
このゾーンは全体から見ると少数派 です。
重要なのは、
「200万円以上で売れない=失敗」ではない
という点です。
利益が出ていなくても売却される理由
よくある誤解が、
「赤字だから売れない」という考えです。
実務上は、
赤字でも売却されるケースは珍しくありません。
理由はシンプルで、
買い手が見ているのは
「過去の利益」より「次に使えるか」 だからです。
例えば、
- 内装が新しい
- 立地が良い
- 賃料が相場より安い
- すぐ営業を再開できる
こうした条件があれば、
事業としてではなく“拠点”として価値が出ます。
売却価格を左右する主な要素
パーソナルジムの売却価格は、
以下の要素の 組み合わせ で決まります。
内装・設備の状態
- マシンの年式
- 内装の劣化具合
- そのまま使えるか
初期投資をどれだけ抑えられるか は、
買い手にとって非常に重要です。
立地・広さ
- 駅距離
- 周辺環境
- 広さとレイアウト
立地が良ければ、
業態転換(ピラティス・整体など)も可能になり、
売却の選択肢が広がります。
賃料と契約条件
- 月額賃料
- 契約年数
- 譲渡・転貸の可否
ここを見落としていると、
話が進んだあとで破談になる ケースもあります。
会員数・引き継ぎ可否
- 会員が何人いるか
- 継続率
- 情報引き継ぎが可能か
会員が少なくても、
ゼロでなければ評価されるケースは多い です。
次の事業者が「すぐ使えるか」
実務上、最も重視されるポイントです。
- 明日から営業できるか
- 追加工事が必要か
- 手間がかかりすぎないか
「すぐ使える=高く・早く売れる」
これはほぼ例外がありません。
実務でよくある売却パターン
実際の現場では、
次のような売却パターンが多く見られます。
パターン①
赤字だが立地が良く、居抜きで売却
- 事業としては厳しい
- ただし立地が良い
この場合、
業態転換前提の買い手 が見つかりやすく、
居抜きで成立します。
パターン②
会員数は少ないが、内装が新しく事業譲渡
- 内装がきれい
- 会員が一定数いる
このケースでは、
小規模でも 事業譲渡として成立 することが多いです。
パターン③
移転に伴い、設備と運営をまとめて譲渡
- 別エリアへ移転
- 今の店舗を手放したい
この場合、
「閉店前に動く」ことで条件が良くなる 典型例です。
いずれも共通しているのは、
「売れない状態」ではなく
「売り方を変えた状態」 という点です。
相場を見るときに注意すべきこと
ネット上には、
「◯倍で売れる」
「年商×◯倍」
といった情報が溢れています。
しかし、
パーソナルジムの売却にそのまま当てはめるのは危険です。
理由は、
- 規模が小さい
- 個別性が高い
- 不動産要素が強い
からです。
数字だけで判断すると、失敗しやすい
というのが実務の実感です。
まずやるべきこと
相場を知るうえで最も大切なのは、
ネット情報だけで判断しないことです。
パーソナルジムの売却は、
一つとして同じケースがありません。
- 事業譲渡が向いているのか
- 居抜きが良いのか
- そもそも売るべきか
これを整理するだけで、
結果は大きく変わります。
まとめ|価格より「売り方」がすべて
パーソナルジムの売却では、
「いくらで売れるか」以上に
「どう売るか」が重要です。
- 赤字でも売れる
- 小規模でも成立する
- 閉店前なら選択肢が増える
これは実務上、何度も確認されています。
関連記事
→ パーソナルジムM&A完全ガイド|売却・事業譲渡の実務
コメント