パーソナルジムを売却すると税金はいくら?事業譲渡・株式譲渡の違いを解説【2026年】
パーソナルジムを売却するとき、経営者が気になるのは「いくらで売れるのか」だけではありません。
売却価格から税金や仲介手数料などを差し引いて、最終的にいくら手元に残るのか。
これも、M&Aを検討するうえで非常に重要なポイントです。
例えば、パーソナルジムを1,000万円で売却できたとしても、1,000万円がそのまま手元に残るとは限りません。売却方法や経営形態によって、課税される税金や計算方法が異なるためです。
特に重要なのが、次の2つの違いです。
- 事業譲渡: ジムの事業や設備、顧客基盤などを譲渡する方法
- 株式譲渡: ジムを運営する会社の株式を譲渡する方法
同じ1,000万円の売却でも、どちらを選ぶかによって税務上の扱いは大きく変わります。
この記事では、パーソナルジムの売却で発生する税金について、法人経営者と個人事業主それぞれのケース、具体的な計算例、売却前に確認すべき注意点を解説します。
パーソナルジムを売却すると税金はいくらかかる?
パーソナルジムの売却にかかる税金は、売却価格だけでは決まりません。
主に、次の条件によって変わります。
- 法人経営か個人事業主か
- 事業譲渡か株式譲渡か
- 売却価格と税務上の取得費
- 仲介手数料などの譲渡費用
- 売却する資産の内訳
- 会社に繰越欠損金などがあるか
まず、代表的なケースを整理しておきましょう。
| 売却方法・経営形態 | 主な税金の考え方 |
|---|---|
| 法人が事業譲渡する | 会社に生じる所得に対して法人税等。課税対象となる資産の譲渡には消費税等が発生する場合がある |
| 個人が事業譲渡する | 譲渡する資産や営業権などの性質に応じて所得税等を計算。消費税等も別途判定 |
| 個人株主が株式譲渡する | 原則として株式の譲渡益に対して20.315%の税率 |
| 法人株主が株式譲渡する | 原則として法人の所得として計算し、法人税等の対象になる |
個人が非上場会社の株式を売却する場合、譲渡益には原則として所得税15%、復興特別所得税、住民税5%を合わせた20.315%が適用されます。譲渡益は、売却価格から取得費や譲渡費用を差し引いて計算します。
一方、事業譲渡では、会社が譲渡資産などを売却したものとして所得を計算するため、株式譲渡とは仕組みが異なります。
※上記は一般的な税務上の整理です。実際の税額は契約内容や資産の内訳などによって異なります。
事業譲渡と株式譲渡では税金がどう違う?
パーソナルジムのM&Aでは、事業譲渡と株式譲渡の違いを理解することが重要です。
事業譲渡とは?
事業譲渡は、パーソナルジムの事業そのものや、その事業に関係する資産・契約などを譲渡する方法です。
例えば、次のようなものが対象になります。
- トレーニングマシンや備品
- 店舗の内装や設備
- 顧客基盤や営業上のノウハウ
- ブランドや屋号
- 譲渡対象として合意した契約や権利
ただし、賃貸借契約や顧客契約などがすべて自動的に引き継がれるわけではありません。契約の内容に応じて、相手方の承諾や再契約などが必要になる場合があります。
法人が事業譲渡を行った場合、譲渡によって会社に生じた所得に対して法人税等が課されます。
また、課税事業者が事業用の設備や機械などを譲渡する場合、消費税等の課税対象になることがあります。土地など、非課税となる資産もあるため、譲渡価格の内訳を確認することが大切です。
株式譲渡とは?
株式譲渡は、パーソナルジムを運営する会社の株式を買い手に譲渡する方法です。
例えば、株式会社を設立してパーソナルジムを運営しているオーナーが、その会社の株式を売却します。
株式譲渡では、原則として会社そのものが存続します。会社が保有する資産や契約、負債なども会社に残るため、事業譲渡とは引き継ぎ方が異なります。
個人株主が株式を売却した場合、原則として株式の譲渡益に対して20.315%の税率で課税されます。
ただし、買い手による財務・法務などの調査で、税金の未納や借入金、契約上の問題が見つかると、価格交渉や取引条件に影響する可能性があります。
どちらが税金面で有利なのか?
一概に「株式譲渡のほうが有利」「事業譲渡のほうが有利」とは言い切れません。
株式譲渡では、個人株主の譲渡益に対して原則20.315%という税率が適用されます。一方、事業譲渡では会社に所得が発生し、その後、オーナー個人に資金を移す際にも別途税務上の検討が必要になることがあります。
また、買い手側が希望する譲渡方法や、会社に残る負債・税務リスクなども考慮する必要があります。
売却価格だけで判断せず、税引き後の手取りと取引の実行可能性を合わせて比較することが重要です。
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株式譲渡で売却した場合の税金を計算してみる
ここでは、個人が100%保有するパーソナルジム運営会社の株式を売却するケースを考えます。
仮に、次の条件だったとします。
- 株式の売却価格:1,000万円
- 株式の取得費:100万円
- 仲介手数料などの譲渡費用:50万円
この場合、譲渡益は次のように計算します。
1,000万円 − 100万円 − 50万円 = 850万円
この850万円に対して、原則20.315%の税率を適用すると、税額の概算は約172.7万円です。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 株式売却価格 | 1,000万円 |
| 取得費 | ▲100万円 |
| 譲渡費用 | ▲50万円 |
| 課税対象となる譲渡益 | 850万円 |
| 税額の概算 | 約172.7万円 |
| 税金・譲渡費用控除後の金額 | 約777.3万円 |
※税額は20.315%で単純計算した概算です。取得費や譲渡費用の税務上の扱い、その他の事情によって実際の税額は異なります。上記の金額には、売却代金から差し引いた取得費と譲渡費用を反映しています。
この例では、1,000万円で売却しても、取得費・譲渡費用・税金を差し引いた金額は約777万円です。
ただし、これはあくまで個人株主が株式を売却したケースです。法人が保有する株式を売却する場合や、事業譲渡の場合には、同じ計算にはなりません。
事業譲渡の場合はどう考える?
次に、法人がパーソナルジムの事業を1,000万円で譲渡するケースを考えます。
ここで注意したいのは、譲渡価格1,000万円が、そのまま課税対象になるわけではないということです。
事業譲渡では、譲渡する資産・権利などの対価と税務上の帳簿価額などを踏まえて、会社に生じる所得を計算します。
例えば、設備やその他の譲渡対象資産の帳簿価額、営業権などの内訳、譲渡に要した費用によって、課税所得は変わります。
さらに、法人税等の税額は会社の所得全体、適用される税率、所在地、資本金、繰越欠損金などによって変わります。
そのため、売却価格だけを見て「税金は何%」「手取りはいくら」と計算することはできません。
また、課税事業者の場合、トレーニングマシンや内装などの課税資産の譲渡に消費税等が発生することがあります。土地などは消費税の非課税取引に該当します。
消費税等の扱いは、売却価格の内訳や課税関係によって異なるため、契約書で譲渡対象と対価の内訳を明確にすることが大切です。
個人事業主がパーソナルジムを売却する場合
個人事業主としてパーソナルジムを経営している場合は、法人の株式譲渡という選択肢がありません。
そのため、事業や資産を譲渡する場合には、譲渡対象ごとに所得税などの扱いを確認する必要があります。
例えば、トレーニングマシン、内装設備、営業権などでは、税務上の取り扱いが異なる場合があります。
譲渡による所得が、譲渡所得・事業所得などのどれに該当するかは、資産の種類や取引内容などによって判断します。
また、消費税等についても、売り手の課税関係や譲渡する資産の種類などに応じて判定が必要です。
個人事業主の場合は、売却価格だけでなく、取得費や帳簿価額、減価償却の状況なども整理しておきましょう。
売却価格を決める前に税金を確認するべき理由
パーソナルジムの売却を検討すると、どうしても「いくらで売れるのか」に意識が向きがちです。
しかし、売却価格が高くても、税金や手数料、負債の精算などを考慮すると、想定していたほど手元に残らないことがあります。
例えば、売却価格が同じ1,000万円でも、事業譲渡なのか株式譲渡なのかによって、売り手の税務上の扱いは異なります。
また、M&A仲介手数料や専門家への報酬なども、最終的な手取りを左右します。
売却を進める前に、次の項目を整理しておくとよいでしょう。
- 希望売却価格
- 借入金や未払金などの負債
- 設備・内装などの帳簿価額
- 株式の取得費(株式譲渡の場合)
- 仲介手数料などの譲渡費用
- 消費税等の課税関係
- 売却後にオーナー個人へ資金を移す方法
これらを整理することで、売却後の資金計画を立てやすくなります。
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税金だけでなく、売却方法そのものを比較する
パーソナルジムのM&Aでは、売り手の税金だけでなく、買い手の希望も重要です。
例えば、買い手が店舗だけを取得したい場合、事業譲渡が検討されることがあります。一方、運営会社ごと引き継ぎたい場合には、株式譲渡が選択肢になります。
ただし、どちらの方法が適しているかは、会社の財務状況、契約関係、負債、従業員の雇用、許認可や各種契約の引き継ぎなどによって変わります。
売り手の税負担だけを優先して譲渡方法を決めると、買い手の希望と合わず、交渉が進まなくなる可能性もあります。
そのため、M&Aの初期段階から、税理士やM&Aの専門家に相談し、複数の選択肢を比較することをおすすめします。
パーソナルジムを売却する前に確認したい5つのこと
1.決算書・確定申告書を整理する
直近数期分の決算書や確定申告書、月次試算表などを準備しておきましょう。
売上や利益の推移が整理されていると、買い手への説明や価格交渉を進めやすくなります。
2.借入金・未払金を確認する
借入金、税金の未納、リース契約、未払金などがある場合は、正確に把握しておく必要があります。
これらは売却価格や契約条件に影響する可能性があります。
3.設備・内装の帳簿価額を確認する
トレーニングマシンや内装設備などの帳簿価額を整理しておきましょう。
事業譲渡では譲渡対象資産の内訳が税務上重要になる場合があります。
4.事業譲渡と株式譲渡を比較する
法人経営の場合は、どちらの方法が現実的かを検討します。
税金だけでなく、契約の引き継ぎ、負債、買い手の意向なども含めて判断することが重要です。
5.売却後の手取り額を試算する
売却価格から税金や仲介手数料などを差し引いた金額を把握しておきましょう。
必要な資金や売却後の生活・事業計画を踏まえ、希望売却価格や交渉条件を検討します。
パーソナルジムの売却を検討している方へ
「自分のパーソナルジムはいくらで売れるのか」
「売却したら税金を引いていくら残るのか」
こうした疑問に答えるには、売上や利益だけでなく、経営形態、借入金、譲渡対象、契約関係なども確認する必要があります。
また、M&Aでは、売却価格が決まってから税金を考えるのではなく、売却方法を検討する段階で税引き後の手取りを試算しておくことが重要です。
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まとめ|パーソナルジムの売却では税引き後の手取りを考えよう
パーソナルジムを売却したときの税金は、売却価格だけで決まるわけではありません。
法人経営か個人事業主か、事業譲渡か株式譲渡かによって、税務上の扱いは異なります。
個人株主が株式を譲渡する場合は、原則として譲渡益に20.315%の税率が適用されます。一方、法人による事業譲渡では、会社に生じる所得に対する法人税等や、譲渡する資産に係る消費税等を検討する必要があります。
売却を検討する際には、次の3点を押さえておきましょう。
- 売却価格と手取り額は異なる
- 事業譲渡と株式譲渡では税金の仕組みが異なる
- 売却方法を決める前に、税理士などの専門家に相談する
M&Aを成功させるためには、売却価格を高くすることだけでなく、税金や費用を踏まえて納得できる条件で取引を進めることが重要です。
よくある質問
Q. パーソナルジムを1,000万円で売却したら、税金はいくらですか?
一律には決まりません。個人株主による株式譲渡であれば、取得費や譲渡費用を差し引いた譲渡益に対し、原則20.315%の税率で計算します。事業譲渡の場合は、法人・個人の別や譲渡対象資産などによって異なります。
Q. 事業譲渡と株式譲渡では、どちらが節税になりますか?
一概にはいえません。売り手の税負担だけでなく、買い手の希望、負債、契約関係、売却後の資金の受け取り方などを踏まえて比較する必要があります。
Q. パーソナルジムの事業譲渡には消費税がかかりますか?
課税事業者による事業用資産の譲渡では、設備や機械などが消費税等の課税対象になる場合があります。一方、土地などは非課税です。売却対象の内訳や課税関係を確認しましょう。
Q. 赤字のパーソナルジムでも売却できますか?
赤字でも、会員基盤、立地、設備、ブランド、買い手とのシナジーなどによっては譲渡できる可能性があります。ただし、借入金や未払金などの状況によって条件は変わります。は、無料査定・相談も活用してください。
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