赤字のパーソナルジムでも売却できる?M&Aが成立するケースと売却前の対策
「うちのパーソナルジム、赤字なんだけど売れるの?」
パーソナルジム経営者からすると、かなり気になるところではないでしょうか。
結論から言うと、赤字だからといってパーソナルジムを売却できないとは限りません。
もちろん、利益が出ているジムと比較すれば買い手から厳しく評価される可能性があります。
しかし、M&Aで買い手が見ているのは「現在の利益」だけではありません。
例えば、
- 会員が残っている
- 店舗の立地が良い
- 賃貸借契約を引き継げる
- スタッフがいる
- GoogleマップやWebサイトが育っている
- SNSにフォロワーがいる
- ブランドに知名度がある
- トレーニング設備が揃っている
- 改善すれば黒字化できる
- 他店舗とのシナジーが期待できる
といった資産があれば、赤字でも買い手にとって検討する価値が生まれる場合があります。
つまり、
「赤字=価値ゼロ」ではありません。
この記事では、赤字のパーソナルジムでもM&Aが成立する可能性があるケースと、売却前に確認しておきたいポイントについて解説します。
赤字のパーソナルジムでも売却できる理由
そもそもM&Aでは、
「現在いくら儲かっているか」
だけで事業価値を判断するわけではありません。
買い手が考えるのは、
「この事業を自分が引き継いだら、利益を出せるのではないか?」
ということです。
例えば、月商200万円のパーソナルジムがあったとします。
現在は、
- 家賃50万円
- 人件費100万円
- 広告費30万円
- その他経費30万円
で、利益が出ていない。
しかし買い手が、
- 家賃を下げられる
- 人員配置を変更できる
- 広告運用を改善できる
- 客単価を上げられる
- 自社ブランドに変更できる
のであれば、買収後に黒字化できる可能性があります。
売り手にとっては「赤字のジム」でも、買い手にとっては、
「改善余地の大きいジム」
かもしれません。
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「赤字」と一言で言っても内容は全く違う
ここは非常に重要です。
「赤字」という言葉だけでは、M&Aの可能性を判断できません。
例えば、
ケース① 月5万円の赤字
売上300万円
経費305万円
この場合、少し経費を改善するだけで黒字化できます。
ケース② 月100万円の赤字
売上200万円
経費300万円
こちらは大幅な改善が必要です。
ケース③ 売上そのものが減少している
以前は月300万円だったものが、現在は月100万円。
この場合は、コストだけではなく事業そのものの立て直しが必要になります。
同じ「赤字」でも、買い手から見た評価は大きく変わります。
赤字でも買い手が検討しやすいパーソナルジム
では、どんな赤字ジムなら可能性があるのでしょうか。
代表的なのが、
「売上はあるが、経費構造に問題があるジム」
です。
例えば、
- 家賃が高すぎる
- 広告費が高い
- 人件費が過剰
- オーナー報酬が大きい
- 不要な外注費がある
- 本部費用が高い
- システム費用が多い
など。
この場合、事業そのものに価値がないのではなく、
経営方法を変えれば利益が出る
可能性があります。
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会員がいることは大きな資産
パーソナルジムを新しく開業する場合、最大の問題の一つが集客です。
店舗を借りて、
マシンを入れて、
ホームページを作って、
広告を出して、
ようやく新規顧客を集める。
当然、時間もお金もかかります。
一方、赤字でも既存会員がいるジムなら、
「すでに顧客が存在している」
というメリットがあります。
例えば、
会員100人
↓
月間売上200万円
というジムがあった場合。
たとえ赤字でも、買い手がマーケティングや価格設定を改善して利益を出せる可能性があります。
もちろん会員がM&A後も継続する保証はありません。
しかし、一定の顧客基盤が存在すること自体は、事業価値を考える上で重要な要素になります。
立地が良ければ赤字でも注目される可能性がある
パーソナルジムでは立地も重要です。
例えば、
- 駅徒歩1分
- 大型駅の近く
- 高所得者層が多いエリア
- 人口が増えているエリア
- 商業施設の近く
- 競合が少ないエリア
など。
現在の経営がうまくいっていなくても、
「この場所でジムをやりたい」
と考える買い手が存在する可能性があります。
特に、買い手がすでに複数店舗を展開している場合、自社のノウハウを持ち込むことで改善できるケースがあります。
「物件そのもの」が価値になるケース
パーソナルジムのM&Aでは、店舗の賃貸借契約も重要です。
例えば、
「駅前の好立地」
「広さ100㎡」
「トレーニングジムとして使いやすい」
「既に内装工事済み」
という物件。
新規出店する側からすれば、
- 物件探し
- 保証金
- 内装工事
- 設備工事
- マシン搬入
などを一から行う必要があります。
既存店舗を取得できれば、その時間と初期投資を削減できる可能性があります。
そのため、赤字店舗であっても、
物件・内装・設備を含めた事業全体
として評価されるケースがあります。
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スタッフが残るなら価値はさらに変わる
パーソナルジムにおいて、設備以上に重要になることがあるのが「人」です。
既存店舗に、
- 店長
- トレーナー
- カウンセラー
- マネージャー
などがいて、M&A後も継続して働いてくれるのであれば、買い手は運営を引き継ぎやすくなります。
反対に、
「オーナーが一人で全部やっています」
というジムの場合、売却後に何が残るのかが問題になります。
オーナー依存度が高いジムは売却が難しくなる
例えば、
代表自身が、
- トレーニング指導
- カウンセリング
- SNS
- 広告
- 営業
- 顧客管理
を全部担当しているとします。
この場合、
「代表が抜けたら売上はどうなる?」
という問題があります。
M&Aではここが非常に重要です。
売却後に事業を継続できるかどうか。
買い手にとっては大きなポイントになります。
赤字でも「オーナー依存を減らせば価値が上がる」ことがある
もし現在赤字であっても、
- 店長を育成する
- 顧客管理を仕組み化する
- マニュアルを作る
- 営業フローを整理する
- 広告データを蓄積する
- 売上を店舗単位で管理する
などを進めておけば、M&Aを検討する際の説明材料になります。
つまり、
「赤字だから売却できない」
と考えるより、
「なぜ赤字なのかを説明できる状態にする」
ことが重要です。
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買い手が嫌がる「赤字」のパターン
逆に、かなり厳しく見られやすいケースもあります。
① 売上が継続的に減少している
例えば、
2024年 月商300万円
2025年 月商220万円
2026年 月商150万円
というように、売上が右肩下がり。
この場合は単なるコスト問題ではありません。
顧客離れや競争力低下など、根本的な問題が疑われます。
② オーナーが抜けると営業できない
代表が全トレーニングを担当。
代表が営業も担当。
代表がSNSも担当。
代表が顧客対応も担当。
この状態では、買い手が引き継ぐ際のリスクが高くなります。
③ スタッフが定着していない
M&Aのタイミングでスタッフが大量退職すると、顧客も離れてしまう可能性があります。
人材の定着状況は重要です。
④ 契約関係が整理されていない
例えば、
- 賃貸借契約
- FC契約
- リース契約
- 顧客契約
- 業務委託契約
などが整理されていない。
このような状態では、買い手側のデューデリジェンスで問題になる可能性があります。
⑤ 財務が分からない
これはかなり大きな問題です。
「毎月なんとなく赤字」
では、買い手が判断できません。
最低限、
- 売上
- 人件費
- 家賃
- 広告費
- その他経費
- 営業利益
などを整理しておきましょう。
「赤字=借金がある」ではない
もう一つ注意したいのが、
赤字と債務超過は別物
ということです。
赤字とは、簡単に言えば一定期間の収益より費用が大きい状態。
一方、債務超過は会社の純資産がマイナスになっている状態です。
さらに、
「借入金がある」
こととも別問題です。
パーソナルジムを経営していて借入があっても、事業そのものに価値がある場合はあります。
そのため、
「借金があるから売れない」
とも限りません。
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株式譲渡と事業譲渡では考え方も変わる
M&Aにはさまざまな方法があります。
代表的なのが、
株式譲渡
と
事業譲渡
です。
株式譲渡では会社そのものを譲渡します。
一方、事業譲渡では、会社の中から特定の事業・店舗などを切り出して譲渡する方法があります。
例えば、
「会社は残したいけれど、パーソナルジム事業だけ売却したい」
という場合には、事業譲渡が選択肢になることがあります。
ただし、実際にどの方法が適切なのかは、法人の財務状況や契約、税務、許認可などによって変わります。
赤字店舗のM&Aで買い手が見るポイント
買い手側の目線で考えてみましょう。
まず見るのは、
「なぜ赤字なのか?」
です。
例えば、
「売上は安定しているが家賃が高い」
なら改善余地があります。
「広告をほとんどやっていない」
なら集客改善の余地があります。
「価格が市場と合っていない」
なら料金改定の余地があります。
「トレーナーの稼働率が低い」
なら人員配置を改善できる可能性があります。
このように、
原因が明確な赤字
は、買い手が改善策を描きやすくなります。
「赤字だけど買いたい」と思われるジム
理想を言えば、
「今は赤字だけど、自分たちなら黒字にできる」
と思ってもらえるジムです。
例えば、
駅近。
既存会員あり。
スタッフ在籍。
設備完備。
しかし、
マーケティングが弱い。
この場合、マーケティングに強い企業にとっては魅力的な案件になり得ます。
逆に、
駅から遠い。
会員が少ない。
スタッフもいない。
設備も古い。
売上も減少中。
という状態では、買い手側が投資する理由を作るのが難しくなります。
赤字のパーソナルジムを売るなら、まず何を整理する?
売却を考え始めたら、まず以下を整理しましょう。
売上
- 月商
- 年商
- 店舗別売上
- 顧客単価
会員
- 会員数
- 新規入会数
- 退会数
- 継続率
- 契約期間
コスト
- 家賃
- 人件費
- 広告費
- 外注費
- システム費
- その他経費
人材
- スタッフ人数
- 雇用形態
- 勤続年数
- 店長の有無
- オーナーの稼働時間
資産
- マシン
- 内装
- Webサイト
- SNS
- Googleビジネスプロフィール
- 顧客データ
- ブランド
契約
- 賃貸借契約
- FC契約
- リース
- 業務委託契約
- 顧客との契約
これだけでも、かなり事業の姿が見えてきます。
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売却前に「黒字化」したほうがいいのか?
もちろん、可能なら黒字化したほうがいいでしょう。
ただし、
「売却するために無理やり黒字にする」
のはおすすめできません。
例えば、
広告を全部止める。
スタッフを大量に削る。
必要な設備投資を全部止める。
などをして、一時的に利益を出したとしても、事業そのものが弱くなってしまいます。
むしろ、
「正常な経営をした場合、どの程度の利益が出る事業なのか」
を整理することが重要です。
売却を急がないことも重要
赤字だから、
「もう無理だから早く売ろう」
と焦ってしまう経営者もいるでしょう。
しかし、M&Aでは、
売り手の焦りが交渉条件に影響する
可能性があります。
もし資金繰りに余裕があるなら、
- 数字を整理する
- 不採算部分を改善する
- オーナー依存を減らす
- 会員数を安定させる
- スタッフを整える
などを行った上で、売却を検討する方法もあります。
「売るかどうか決めていない」段階で査定していい
ここはぜひ知っておいてください。
M&Aというと、
「もう売却を決めた人が相談するもの」
と思われがちです。
しかし、実際には、
「今の価値を知りたい」
という段階で相談することにも意味があります。
例えば、
「今売ったら1,000万円くらいなのか?」
「3年後に売ったらどうなる?」
「黒字化したら価値は変わる?」
といったことを考えるためです。
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パーソナルジムの「現在価値」を知る
経営者として非常に重要なのは、
自分の事業価値を数字で把握すること
です。
例えば、
現在の売却可能性を確認。
↓
問題点を把握。
↓
改善する。
↓
1年後に再評価。
という使い方もできます。
つまり、M&A査定は、
「売却するためだけのもの」ではありません。
経営改善のための材料にもなります。
赤字のパーソナルジムこそ、早めに相談する
もし、
「毎月赤字が続いている」
「借入返済が重い」
「スタッフを維持できない」
「もう自分一人では厳しい」
という状態なら、売却を検討するのを先延ばしにしすぎないことも重要です。
なぜなら、事業価値が残っているうちに動いたほうが、選択肢を持ちやすいからです。
会員がいる。
スタッフがいる。
店舗が営業している。
ブランドが残っている。
こうした状態と、
「閉店してしまった後」
では、買い手から見える価値が変わる可能性があります。
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まとめ|赤字でも「売れる可能性」はある
赤字のパーソナルジムだからといって、必ずしもM&Aできないわけではありません。
重要なのは、
「なぜ赤字なのか」
そして、
「買い手が改善できる余地があるのか」
です。
例えば、
- 会員基盤がある
- 駅近など立地に強みがある
- スタッフがいる
- 設備が整っている
- Web・SNSなどの集客資産がある
- ブランドがある
- コストを改善できる
- マーケティング改善の余地がある
といった場合、現在の利益だけでは判断できない価値があります。
逆に、
「売上減少」
「顧客離れ」
「スタッフ不足」
「オーナー依存」
「財務が不透明」
などが重なっている場合は、M&Aに向けて整理・改善すべきポイントが多くなります。
だからこそ、
「赤字だから売れない」ではなく、「なぜ赤字なのか」「何が残っているのか」を整理することが第一歩です。
パーソナルジムの売却を検討している方へ
「うちは赤字だから無理だろう」
と最初から諦める必要はありません。
また、
「まだ売ると決めていないけど、今の価値だけ知りたい」
という相談でも問題ありません。
パーソナルジムの売却・M&Aを検討している方は、まず現在の事業価値を確認してみてください。
「売るかどうか」は、査定してから決めても構いません。
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