パーソナルジムM&Aのリアル|実際の売却案件から見る「売れるジム」の条件
パーソナルジム業界で、M&Aという選択肢が少しずつ身近になっています。
「パーソナルジムを売却する」
と聞くと、
「何店舗も持っている大手の話では?」
と思う経営者も多いかもしれません。
しかし、実際のM&A市場を見てみると、そうとは限りません。
2026年8月時点で、M&Aプラットフォーム「BATONZ」には、フィットネス・ジム関連の売却案件が818件掲載されています。さらに直近でも、複数店舗を展開するパーソナルジムから、1店舗のパーソナルジムFCまで、さまざまな規模の案件が公開されています。
例えば、
- パーソナルジム5店舗以上・譲渡希望額4,300万円
- 都内駅徒歩30秒のパーソナルジムFC・譲渡希望額690万円
といった案件です。
もちろん、ここで表示されている金額はあくまで譲渡希望額であり、実際の成約価格とは異なる場合があります。
しかし、こうした案件を眺めていくと、現在のパーソナルジムM&A市場で、
「どんなジムが買収対象として見られているのか」
が少しずつ見えてきます。
この記事では、現在公開されている実際の案件をもとに、パーソナルジムM&Aのリアルと、これから売却を考える経営者が意識しておきたいポイントを解説します。
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2026年、実際にパーソナルジムの売却案件が出ている
まず注目したいのが、M&A市場に出ている案件の幅です。
2026年8月時点でBATONZの「フィットネス・ジム」の売却案件一覧には818件が掲載されています。
もちろん、これらすべてが「パーソナルジム」ではありません。
24時間ジム、フィットネスクラブ、ヨガ、その他のフィットネス関連事業なども含まれています。
それでも、フィットネスというカテゴリーだけでこれだけの事業がM&A市場に存在していることは、注目すべきでしょう。
そして、その中にはパーソナルジムの具体的な案件もあります。
5店舗以上のパーソナルジムが4,300万円
現在公開されている案件の一つが、
「パーソナルジム5店舗以上(駅近展開・低価格モデル・会員基盤あり)」
という案件です。
募集開始は2026年6月12日、最終更新は7月27日。
譲渡希望額は4,300万円。
売上高は5,000万円〜1億円とされています。
ここで重要なのは「5店舗以上」という店舗数だけではありません。
案件タイトルを見ると、
- 駅近
- 低価格モデル
- 会員基盤あり
という特徴が明確に打ち出されています。
つまり、買い手にとっての魅力を、
「店舗数」+「立地」+「ビジネスモデル」+「顧客基盤」
として説明できる案件になっています。
店舗数が多ければ高く売れるのか?
ここで勘違いしてはいけないのが、
「5店舗あるから4,300万円」
という単純な話ではないことです。
M&Aでは、店舗数だけでなく、
- 売上
- 利益
- 会員数
- 継続率
- スタッフ
- 物件契約
- ブランド
- 集客力
- オーナー依存度
- 将来の成長余地
など、さまざまな要素を総合的に見ます。
例えば5店舗あっても、赤字店舗が多く、オーナーが現場にいなければ回らず、スタッフが退職してしまうような事業なら、買い手にとって魅力的とは限りません。
逆に、店舗数が少なくても、
「買収後すぐに利益を生み出せる」
のであれば、十分に検討対象になります。
690万円で売りに出ている都内パーソナルジム
もう一つ、非常に興味深い案件があります。
2026年7月28日に公開された、
「営業中|即運営可|都内駅徒歩30秒|パーソナルジムFC|加盟金無・スタッフ引継ぎ」
という案件です。
こちらの譲渡希望額は690万円。
東京都内で営業中のパーソナルジムFCで、駅から徒歩30秒という立地が特徴です。
さらにスタッフの引き継ぎも想定されており、従業員は5〜9人とされています。
この案件から見えてくるのは、
「1店舗のパーソナルジムでもM&A市場に出ている」
ということです。
「M&A=何十店舗もある会社」
というイメージとは少し違います。
「駅徒歩30秒」はそれだけで価値になる
この案件でもう一つ注目したいのが、
駅徒歩30秒
という立地です。
パーソナルジムにおいて、立地は非常に重要です。
なぜなら、パーソナルジムは継続して通ってもらう必要があるからです。
例えば、
「駅から徒歩1分」
と
「駅から徒歩15分」
では、同じ料金でも通いやすさが違います。
特に、
- 仕事帰り
- 通勤前
- 駅を利用する会社員
- 忙しい経営者
- 子育て世代
などをターゲットにする場合、駅からの距離は重要な営業材料になります。
つまり、M&Aでは単純に「ジムの内装」だけを見るのではなく、
「その店舗がどこに存在しているか」
も価値になります。
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買い手は「ジム」を買っているわけではない
ここがパーソナルジム経営者にとって最も重要なポイントです。
M&Aで買い手が買っているのは、
「マシン」
「内装」
「看板」
だけではありません。
本質的には、
「将来キャッシュを生み出す事業」
を買っています。
例えば、
月商300万円の店舗があったとします。
しかし、その300万円の売上を作っているのが、
代表一人。
代表が退職したら売上ゼロ。
という状態なら、買い手は慎重になります。
一方で、
店長がいる。
トレーナーがいる。
会員がいる。
集客システムがある。
接客マニュアルがある。
予約システムがある。
オーナーがいなくても運営できる。
という状態なら、事業としての価値は大きく変わります。
「オーナー依存度」はM&Aで非常に重要
パーソナルジムは特にオーナー依存度が高くなりやすい業態です。
創業者自身が、
- トレーナー
- 店長
- 営業
- 採用
- SNS
- 広告運用
- 経理
- 顧客対応
を全部やっているケースもあります。
創業初期には非常に効率的です。
しかし、M&Aという視点では弱点にもなります。
なぜなら買い手が、
「その人がいなくなった後も、この売上を維持できるのか?」
を考えるからです。
「自分がいなくても売上が立つ」ジムは強い
M&Aを考えるなら、
「自分が働かなくても回るジム」
を目指すことが重要です。
例えば、
代表が営業する
↓
代表が契約を取る
↓
代表がトレーニングする
というモデルから、
問い合わせ
↓
カウンセリング担当
↓
トレーナー
↓
継続フォロー
という仕組みに変えていく。
これだけでも事業の再現性は変わります。
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会員基盤は大きな資産
先ほど紹介した5店舗以上の案件でも、タイトルに「会員基盤あり」と明記されています。
これは非常に重要です。
ジムをゼロから作る場合、
「新規顧客をどう集めるか」
が最大の課題になります。
一方、既存ジムには、
すでに顧客が存在する
というメリットがあります。
もちろん、M&Aでは顧客がそのまま残る保証はありません。
しかし、
- 会員数
- 継続率
- 月間退会率
- 顧客単価
- 契約期間
- リピート率
などのデータが整理されていれば、買い手は事業を評価しやすくなります。
売上だけではなく「利益」が重要
ここも非常に大事です。
例えば、
Aジム
売上5,000万円
営業利益500万円
Bジム
売上3,000万円
営業利益1,000万円
なら、単純に売上だけを見るとAジムのほうが大きい。
しかし、買い手が「利益を生む事業」を探しているなら、Bジムにも大きな魅力があります。
M&Aでは、
「いくら売っているか」
だけでなく、
「いくら残しているか」
を見る必要があります。
さらに、その利益が、
「オーナーが現場で働いているから出ている利益なのか」
「オーナーがいなくても出る利益なのか」
でも意味が変わります。
「売上1億円」がゴールではない
ジム経営者の中には、
「売上1億円を目指そう」
と考える方もいるでしょう。
もちろん売上規模は重要です。
しかし、M&Aを意識するなら、
売上だけを追うのは危険です。
例えば、
売上1億円
↓
利益ほぼゼロ
↓
借入金が多い
↓
オーナー依存
という会社より、
売上5,000万円
↓
安定利益
↓
スタッフ組織あり
↓
複数の集客チャネル
↓
オーナーが抜けても運営可能
という会社のほうが、買い手から見て魅力的なケースもあります。
「駅近」「低価格」「会員基盤」という強み
現在公開されている5店舗以上の案件では、
駅近・低価格・会員基盤
という3つの特徴がタイトルに入っています。
これはパーソナルジム経営者にとって参考になります。
つまり、
「うちのジムには何があるのか?」
を第三者に説明できる状態にしておくことが重要です。
例えば、
駅徒歩2分
20〜40代会社員が中心
月額制
会員150名
継続率80%
Instagram・Google・SEOから集客
店長以下スタッフ5名
というように説明できれば、事業の姿が見えてきます。
「なんとなく儲かっている」はM&Aでは弱い
逆に、
「毎月なんとなく儲かっています」
では買い手は判断できません。
必要なのは数字です。
例えば、
- 月間売上
- 粗利
- 営業利益
- 会員数
- 新規入会数
- 退会数
- 客単価
- 継続率
- 広告費
- 人件費
- 家賃
- オーナー報酬
など。
これらを月次で管理しておくことが重要です。
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M&Aを考えていない経営者にもメリットがある
ここまで読むと、
「売却予定がないから関係ない」
と思う方もいるかもしれません。
しかし、M&Aを意識した経営は、通常の経営にもプラスになります。
なぜなら、
「第三者が見ても価値が分かる会社」
を作ることになるからです。
数字が整理される。
スタッフが育つ。
オーナー依存が減る。
集客が仕組み化される。
顧客データが蓄積される。
マニュアルが整備される。
これはすべて、普通に経営を強くする行為です。
「売れるジム」の7つの条件
ここまでの実際の案件を踏まえると、これからM&Aを意識するパーソナルジムには、次のような条件が重要になるでしょう。
1.安定した利益がある
一時的な売上ではなく、継続的に利益を生み出している。
2.オーナーが抜けても運営できる
店長・トレーナー・業務フローが整っている。
3.会員基盤がある
一定数の継続顧客がいる。
4.立地に強みがある
駅近、住宅地、商業エリアなど、明確な立地優位性がある。
5.集客チャネルが複数ある
広告だけに依存していない。
6.財務・契約関係が整理されている
買い手がデューデリジェンスを進めやすい。
7.買収後の成長余地がある
店舗追加、価格改定、集客改善、ブランド変更など、買い手が成長させられる余地がある。
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「完成されたジム」だけが売れるわけではない
ここも重要です。
買い手が求めるのは、
「何も問題がない完璧なジム」
だけではありません。
むしろ、
「良い資産があるけど、まだ改善余地がある」
という案件も面白い場合があります。
例えば、
- 駅近なのに集客が弱い
- 会員はいるが単価が低い
- ブランドが弱い
- DXが遅れている
- SNSをほとんどやっていない
というジム。
買い手側にマーケティングや店舗運営のノウハウがあれば、改善できる可能性があります。
実際、ファノーヴァは事業承継M&Aで取得した既存フィットネス事業を、ブランド再設計やDXによって再生する取り組みを進めています。
M&Aは「出口」ではなく「次の成長」の手段にもなる
これまで、
M&A=会社を売って終わり
というイメージが強かったかもしれません。
しかしフィットネス業界では、
「買収した店舗を自社ブランドに組み込む」
「既存店舗の顧客基盤を活用する」
「運営ノウハウを投入する」
「複数店舗をまとめてスケールさせる」
という使い方もできます。
つまり、
M&Aは売り手だけのものではなく、買い手にとっても成長戦略
なのです。
これからパーソナルジムのM&Aはどうなる?
現時点で「パーソナルジムM&Aが急増している」と断定するだけの公的な件数推移があるわけではありません。
ただし、M&Aプラットフォーム上では多数のフィットネス・ジム案件が掲載され、2026年にも複数店舗・単店舗のパーソナルジム案件が実際に公開されています。
また、フィットネス企業側でもロールアップ・M&Aを成長戦略として明確に打ち出す企業が出ています。
こうした動きを考えると、今後は、
「新規出店だけで店舗数を増やす」
という方法に加えて、
「既存ジムをM&Aで取得して規模を拡大する」
という方法も、フィットネス業界でより一般的になっていく可能性があります。
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パーソナルジム経営者は「売却できる状態」を作っておく
売却するかどうかは、今決める必要はありません。
しかし、
「もし3年後に売るとしたら?」
という視点で今の経営を見てみることをおすすめします。
そのとき、
「代表がいないと営業できません」
「売上が全部頭の中です」
「会員数も正確に分かりません」
「利益がいくらなのか説明できません」
という状態では、買い手との交渉は難しくなります。
一方、
「スタッフだけで店舗が回る」
「月次の数字が整理されている」
「会員データがある」
「集客経路が分かる」
「契約関係が整理されている」
という状態なら、M&Aの選択肢を取りやすくなります。
まとめ|「売れるジム」を作ることは「強いジム」を作ること
2026年8月現在、M&A市場には実際にパーソナルジムの売却案件が存在しています。
5店舗以上を展開するパーソナルジムでは譲渡希望額4,300万円、都内駅徒歩30秒のパーソナルジムFCでは690万円という案件も公開されています。
もちろん、これらはあくまで個別案件の譲渡希望額であり、これだけをもって「パーソナルジムの相場」とすることはできません。
しかし、実際の案件を見ることで、
買い手がどんな事業を検討しているのか
を考える材料にはなります。
これからのパーソナルジム経営で重要なのは、
売上を作ることだけではありません。
- 安定した利益を作る
- 顧客基盤を作る
- スタッフを育てる
- オーナー依存を減らす
- 集客を仕組み化する
- 数字を管理する
- 立地やブランドの価値を高める
そして最終的に、
「第三者が買いたいと思える事業」にする。
これはM&Aをする予定がない経営者にとっても、非常に重要な経営戦略です。
パーソナルジム業界では、今後も新規出店だけではなく、事業承継やM&Aによる店舗取得、買収後のブランド再構築など、さまざまな形で業界再編が進む可能性があります。
「自分のジムはいくらになるのか?」
そう考えた時点で、M&Aはもう他人事ではありません。
パーソナルジムの売却を検討している方へ
「まだ売却するか決めていない」
「自分のジムがM&Aの対象になるのか知りたい」
「現在の事業価値を一度確認してみたい」
という方は、まず無料査定を利用して現在の事業価値を把握してみるのも一つの方法です。
売却を決める必要はありません。
まずは、
「今、自分のジムにはどれくらいの価値があるのか」
を知るところから始めてみてください。
パーソナルジムの売却・M&Aを検討している方へ
「まだ売却を決めていない」
「自分のジムにどれくらいの価値があるのか知りたい」
という段階でも、まず現在の事業価値を把握しておくことには意味があります。
Personal Gym JPでは、パーソナルジムの売却・M&Aを検討する経営者向けに、無料査定を受け付けています。
売却を決める前に、まずは現在のジムがM&A市場でどの程度評価される可能性があるのか確認してみてください。
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参考情報
- 東京のパーソナルジム複数店舗譲渡案件(BATONZ)
- 株式会社ファノーヴァ「マルチブランド型フィットネス事業の拡張とロールアップ・M&A戦略を本格化」
- THE BRIDGE「フィットネス・ロールアップの新生・ファノーヴァが資金調達」
パーソナルジム経営者の方へ
パーソナルジムJPでは、パーソナルジムの開業・経営改善・集客・M&Aなど、ジム経営者向けの情報を発信しています。
「今の店舗をどう成長させるか」
「集客を改善したい」
「新規出店を考えている」
「将来的にジムを売却したい」
など、ジム経営についてお悩みの方は、ぜひ関連情報もご覧ください。

▼ パーソナルジムの開業・運営・今後を考えている方へ
パーソナルジムを探している方の中には、
「将来的に自分でジムを開業したい」
「すでにジムを運営していて、今後の方向性を考えている」
という方も多いのではないでしょうか。
パーソナルジムJPでは、
ジム選びだけでなく、その先の“開業・運営・売却”まで含めた情報提供を行っています。
もし以下に少しでも当てはまる場合は、参考にしてみてください。
- 将来、パーソナルジムの開業を考えている
- トレーナーとして独立を検討している
- ジム運営を続けるか、見直すか迷っている
- 売却や事業譲渡という選択肢も知っておきたい
▶ これからパーソナルジムを開業したい方へ
パーソナルジム開業は、
「始めること」よりも 「続けられる設計」 が重要です。
開業の流れ、費用、物件選び、集客、
そして失敗しやすいポイントまで網羅的にまとめています。
(※未経験からでも失敗確率を下げるための実践情報を掲載)
▶ ジム運営の見直し・売却を検討している方へ
パーソナルジムは、
「閉める」か「続ける」だけでなく、
売却・事業譲渡という選択肢もあります。
まだ決めていない段階でも、
「今のジムがどのくらいの価値になるのか」を
知っておくことは、今後の判断材料になります。
(※売却前提ではなく、相場確認だけでも相談可能です)
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